目次
アフガニスタンのトイレ事情の概要
衛生状態
アフガニスタンのトイレ事情は、地域や施設によって大きく異なりますが、全体的に見て衛生状態は良好とは言えません。特に地方では、下水道設備が整っていない場所が多く、中小都市さえ屋外で用を足す習慣が残っているため、衛生状態が悪化している傾向があります。都市部では、近年、水洗トイレの普及が進んできていますが、それでも衛生状態が良いとは言えない場所も少なくありません。アフガニスタンでは、コレラなどの感染症のリスクも高いため、トイレの使用には十分な注意が必要です。
水洗トイレの普及率
アフガニスタンにおける水洗トイレの普及率は、世界銀行のデータによると、2020年時点で約24%とされています。都市部では、ホテルやレストランなどで水洗トイレが設置されていることが多いですが、地方では依然として伝統的なトイレが主流です。水洗トイレの普及率は年々増加傾向にはありますが、依然として低い水準にとどまっており、衛生改善のための取り組みが急務となっています。
伝統的なトイレの様式
アフガニスタンで伝統的に使われているトイレは、「ボットン便所」と呼ばれる落下式便所で地面に穴を掘っただけのシンプルな構造のものです。落下式便所は、悪臭やハエの発生など、衛生面での問題が多いだけでなく、地下水汚染の原因にもなっています。そのため、政府やNGO団体によって、水洗トイレの設置や衛生教育などの取り組みが進められ改善される傾向にあります。
都市部におけるトイレ事情
アフガニスタンの都市部では、地方と比べてトイレ事情は比較的良好です。しかし、それでも日本と同じレベルの衛生状態を期待することはできません。特に、水洗トイレの普及率は低く、伝統的な様式のトイレが多い点は留意が必要です。
ホテルのトイレ
高級ホテルでは、洋式水洗トイレが完備されていることがほとんどです。しかし、中級以下のホテルやチャイハナと呼ばれる軽食堂兼簡易宿泊所では、伝統的な様式のトイレの場合や、水洗トイレでも水圧が弱かったり、お湯が出なかったりすることがあります。トイレットペーパーや石鹸がない場合もあります。
レストランのトイレ
レストランのトイレも、ホテルと同様に、高級店であれば洋式水洗トイレが設置されていることが多いですが、そうでない場合は伝統的な様式のトイレの場合もあります。衛生状態も店によって異なるため、気になる場合は利用を控えた方が無難です。
ショッピングモールのトイレ
比較的新しいショッピングモールでは、洋式水洗トイレが設置されていることが多いです。しかし、古いショッピングモールやバザールと呼ばれる市場に併設されているトイレなどでは、衛生状態が悪い場合もあります。トイレットペーパーがない場合がほとんどです。
地方におけるトイレ事情
アフガニスタンの地方では、都市部に比べてインフラ整備が遅れているため、トイレ事情はさらに深刻化します。衛生状態が悪く、安全な水や衛生設備へのアクセスが限られているため、病気のリスクが高まります。特に、ユニセフによると、5歳未満の子どもの死亡原因の多くは、安全な水と衛生設備の不足に関連していると言われており、悪い衛生環境が原因の下痢による死亡者数は年間1万人で一日当たり26人にも上ります。
衛生状態の悪化
地方では、下水道システムが未整備の地域が多く、トイレの排水が適切に処理されないケースがほとんどです。そのため、汚水が地表に流れ出し、ハエや蚊などの害虫が発生しやすくなるため、感染症のリスクが高まります。 また、トイレ自体も不衛生な状態であることが多く、定期的な清掃や消毒が行われていない場合もあります。
伝統的なトイレの利用
地方では、水洗トイレではなく、伝統的なトイレが依然として広く利用されています。伝統的なトイレは、地面に穴を掘っただけのシンプルな構造で、悪臭や衛生面での問題があります。また、プライバシーの確保が難しいことも課題です。
トイレの場所の少なさ
地方では、そもそも伝統的なトイレすら少ないため、屋外で用を足さなければならないことがあります。屋外と言っても、木の陰や林の中というわけでは有りません。例えば、普通の道の片側半分とかチャイハナの裏側、単なる空地と言った場所です。しかも、場合によっては、野外トイレの真ん中を飲料用の上水路が流れていたり、トイレに使用している道路の反対側に上水路があるということすらあります。
チャイハナで食事を終えて出発前にトイレに行ったら上記の状況だった場合は、さすがに吐きそうになりました。
それにしても、日本のトイレの様なジメジメとした不潔感は無く、カラッとした乾いた不潔感なのは不思議です。
旅行者のトイレ対策と心得
アフガニスタンでは、公衆トイレの数が非常に限られています。そのため、道路脇でトイレに行きたくなる場面も想定されます。しかし、衛生面や文化的な観点から、注意すべき点がいくつかあります。
携帯トイレの利用
道路脇でトイレをする場合、最も重要なのは衛生面と周囲への配慮です。携帯トイレを持参することで、これらの問題を解決することができます。携帯トイレは、ドラッグストアやオンラインショップなどで手軽に購入できます。ジェル状の凝固剤が入っており、使用後の臭いや衛生面の問題を軽減してくれます。アフガニスタンへ旅行する際は、必ず携帯トイレを持参しましょう。
周囲の環境への配慮
トイレをする場所を選ぶ際には、人目につかない場所を選び、水辺や井戸から離れた場所を選びましょう。水源を汚染する可能性があるため、特に注意が必要です。また、使用後のトイレットペーパーや生理用品は、持ち帰り可能な場合は持ち帰り、そうでない場合は、土に埋めるなどして適切に処理しましょう。
女性のための注意点
アフガニスタンはイスラム教の国であり、女性は肌の露出を控える必要があります。そのため、道路脇でトイレをする場合は、人目につかない場所を特に慎重に選ぶ必要があります。さらに、傘を利用することで体を隠せるようにすることが出来るので安心です。また、可能な限り同行者に周囲を警戒してもらうなどの配慮も重要です。
その点、アフガニスタンの民族衣装のブルカは機能的で、肌を全く露出することは無く容姿・年齢も分かりませんので安心です。
トイレに関するアフガニスタンの文化・習慣
アフガニスタンはイスラム教徒が多数を占める国であり、トイレに関する文化もイスラムの教えに深く根ざしています。
トイレの使用後
イスラム教では、トイレの使用後には水を使って体を清めることが義務付けられています。これは「イスティンジャー」と呼ばれ、トイレットペーパーのみの使用よりも清潔だと考えられています。アフガニスタンでも、水洗トイレの普及率は低いものの、伝統的に水を使って体を清める習慣が根付いています。
- 水は通常、小さな容器(ロタと呼ばれる)に入れて使用します。
- 水洗トイレの場合でも、横にロタが置かれていることが多く、イスティンジャーを行うことが一般的です。
- トイレットペーパーは水に溶けにくいため、トイレに流さず、備え付けのゴミ箱に捨てるのがマナーです。
左手は不浄の手
イスラム教国やインドでは、左手は不浄の手とされています。これは、トイレで体を清める際に左手を使うことが多いためです。そのため、食事や握手など、人と接する際には必ず右手を使うように心がける必要があります。
水の使い方
アフガニスタンは水資源が限られている国です。そのため、節水を心がけることが大切です。トイレ使用後も、必要以上の水を使わないようにする必要があります。
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