アガニスタンの国技ブズカシの魅力・起源・ルール

ブズカシの概要

国技としてのブズカシ

 ブズカシは、アフガニスタンの国技と位置付けられアフガニスタンで人気の馬上格闘技です。他の中央アジア地域でも同じ様な格闘技が行われていますが、馬上で激しい競技を行うという他に類を見ない独特の競技であり、その魅力は多くの人々を惹きつけています。アフガニスタンの国技ブズカシの競技風景

 

ブズカシは正式に国技と定められているわけでは有りません。日本の相撲と同じです。

 

ブズカシは、もともとは2つの騎馬隊が生きた山羊を奪い合い、ポイントを競う競技でしたが、後に頭部を除いた山羊の死骸を引き回し、さらに近年では山羊の死骸の代わりに子牛の死骸をも使っています。

 

この競技はアフガニスタンの文化と密接に結びついており、1979年から発行された額面500アフガニの紙幣にも描かれるほど人気で重要なの国民的スポーツイベントの一つです。

ブズカシの起源

ブズカシは、アフガニスタンの古代にまで遡る歴史ある競技です。今日では、死んだ子牛をゴールラインの向こうに投げることができた騎手が勝ちます。

 

元々は、部族間の争いの解決のために競技で決着をつけたとする説、騎馬隊の格闘技術向上の修練だとする説があります。前者は、古代の戦士たちは、敵の首を取ることで名誉を得ることができましたが、敵が多数である場合、首の代わりにヤギを奪い合い、競技を行ったというものです。

 

その他に、ブズカシは紀元前の遊牧民の文化に由来している、とする説があります。遊牧民が豊かな牧草地を求めてヤギを飼育していた中、ヤギが死亡した場合には埋葬せず、競技のための道具として利用されたというものです。

 

 ブズカシの起源についての歴史的な記録はほとんど存在せず、口伝や伝承によってのみ伝えられています。

ブズカシ発祥の地

伝説によると、ブズカシはサカ(スキタイ)の時代まで遡り、中央アジアアムダリア流域のオクサス盆地で初めて競技され発達されたと言われています。ステップからアフガニスタンに移住したチュルク系民族やその他の人々は馬を家畜化し、戦闘用の移動式兵器プラットフォームとして使用しました。ブスカシでは雄の種馬のみが使用されます。

ブズカシの名前の由来

ブズカシという名称の由来についても、明確な結論は出されていません。

 

ブズカシという名前は、ブスが「山羊」を意味し、カシが「引っ張る。奪う。」の意味で文字通り「ヤギを引っ張る」または、「山羊を奪う」を意味し、馬に乗った騎手が山羊を引っ張っぱり奪い合う様を表したことに由来しているようです。

 

遊牧民の中でヤギを奪い合う競技が行われていたことから、この名称がついたのではないかと考えられています。

 

 しかし、正確な由来は不明であり、ブズカシという言葉自体がブズカシの競技を象徴していると言えるでしょう。

ブスカシの盛んな地域

ブスカシは発祥が中央アジアのオクサス盆地ということで、アフガニスタン国内でもバクトリア地方で盛んに行なわれています。特に、マザーリ・シェリフ、クンドゥーズ、バルフ及びサマンガンが盛んです。

 

現在は、アフガニスタン南部のパシュトゥーン人居住地域でも行われていますが、ブズカシが国技と位置付けられアフガニスタン・ブズカシ連盟でルールが公式化されて以降南部地域でも盛んになってきています。但し、南部以外で公式ルールが適用される例は少なく依然として地方独自のルールが採用されています。

ブズカシの人気と存在意義

 ブズカシは非常にスリリングな競技で、観客にとっても大変興奮する瞬間が数多くあります。ブズカシはアフガニスタンの国技に制定される以前より長い歴史を持っており、その存在意義は非常に重要です。

 

この競技はアフガニスタンの文化と深く結びついており、国民の誇りとなっています。タリバン政権時代にはブズカシを含む多くの娯楽が禁止されていましたが、現在は復活し、再び人々の間での人気を集めています。

 

タリバン政権時代にはブズカシが娯楽的要素から禁止されたというよりも、ハラール肉の動物の死体を用いることで禁止されたようです。

 

 ブズカシは競技の様子がアフガニスタンの紙幣にも描かれており、国民の心を魅了しています。また、ブズカシ選手はチャパン・ダーズと呼ばれ、その名声はアフガニスタン国内外に広まっています。アフガニスタンの民族ごとに編成されたチームがブズカシを競技し、これによって地域の誇りや団結を高める役割も果たしています。

 

 以上のように、ブズカシはアフガニスタンにおいて非常に重要な存在であり、国民の間で大変人気のあるスポーツとなっています。

ブズカシのルール

基本的なルール

 ブズカシはアフガニスタンの国技であり、2つの騎馬隊が子牛の死骸を奪い合い、ポイントを競う競技です。競技は長さ400メートル、幅300メールの枠内で行われます。ブズカシの試合はスターティング・サークルから始まります。競技には数時間から数日にわたる場合があり、特定の場所を回った後、競技場の円の中に子牛の死骸を落とすことで勝利します。
アフガニスタン・ブズカシ連盟による公式ルールの主な内容は次の通りです。

    • 各チームは10人、ハーフゲームに参加出来るのは各チーム5人の騎手のみ。
    • 鞭で相手騎手を打つのは禁止。
    • ゲームの時間は1時間45分で前半・後半は45分で間に15分の休憩を挟む。
    • 子牛(山羊)の重さは50キログラム以上。
    • 騎手を故意に傷つける行為は禁止。
    • ゲームはレフリーが管理し、試合時間を増減する権利を有する。
    • 馬の鞍の重量、鞭の長さの制限がある。

ルールの多様性

 アフガニスタン・ブズカシ連盟による公式ルールが存在するものの、南部以外は地域やコミュニティによって独自のルールが存在します。競技の進行や評価方法、反則行為の定義など、細かな部分においても違いが存在します。これにより、ブズカシは多様性に富んだ競技となっています。地域ごとのルールの違いは、ブズカシの魅力となる要素の一つでもあります。

禁止行為

公式ルールにも定められている通り、相手の騎手を故意に鞭で叩くこと、馬上から相手の騎手を故意に突き落とすことが一般的に禁じられていますがローカルルールでは容認されている場合もあります。また、子牛を奪うために死体を鞍に縛り付けたり、相手の手を叩いたり、ロープを使って相手を転倒させることも禁止されている場合もあります。

 

但し、騎手が興奮して相手にぶつかったりすることがよくあります。競技から戻ってくると、打撲傷を負っていたり、手足を骨折していたり​​することがあります。また、肋骨が折れたり、頭部にさまざまな怪我を負ったりしながら競技を続ける騎手も珍しくありません。

 

アフガニスタン人はブズカシに非常に高い賭け金を掛けギャンブル性が認められる一方、競技を非常に真剣に受け止めています。

 

 以上が、ブズカシのルールについての基本的な説明です。ブズカシはアフガニスタンの国技と認識されており、競技が国中に広まっており、多くの人々に愛されています。

優勝者の待遇

優勝者にはターバン、現金、ライフルなどの賞品が贈られます。騎手は競技で乗る馬を所有していない場合があります。ブズカシの馬のほとんどは、馬を購入し調教師を雇う余裕のある男性の所有物です。

 

通常、騎手の馬が勝利して名声を得ると、馬の所有者は騎手に賞品を授与します。熟練した騎手は、重要なブズカシの試合で使用したい馬を選んで手に入れることができます。