ハラッパー

ハラッパーは、現在のパキスタン東部、パンジャーブ州に位置する古代都市遺跡で、ラホールの南西約200キロメートルにあるサヒワールという都市の近郊にあります。この遺跡は、紀元前2600年ごろから紀元前1900年ごろにかけて栄えたインダス文明の中心的な都市の一つであり、モヘンジョダロと並んでその文明の実態を明らかにする上で極めて重要です。
 
ハラッパーの都市構造は、計画的に設計された街区、焼成レンガを用いた建築、排水施設など、高度な都市技術を示しており、当時の人々の生活の洗練ぶりをうかがわせます。また、土器や印章、計量具といった出土品からは、交易や行政、宗教的活動が行われていた痕跡が読み取れます。インダス文明という名前自体が、最初に発見されたこのハラッパーの名にちなんで「ハラッパー文化」とも呼ばれるほどで、考古学的にも象徴的な意義を持つ遺跡です。