カラーシャ族は、パキスタン北部のヒンドゥークシュ山脈の奥地、特にチトラル地方の三つの渓谷(バンブレット、ルンブール、ビリール)に居住する少数民族で、独自の宗教や文化を維持しながら暮らしています。彼らはパキスタンの人口の中では非常に小さな集団で、数千人規模に過ぎませんが、その鮮やかな民族衣装や古来の祭礼、伝統的な信仰などから、国内外の研究者や観光客の関心を集めています。
カラーシャ族の人々は、色鮮やかな刺繍を施した伝統衣装を身に着け、特に女性は黒地のワンピースに赤や黄色、オレンジといった明るい色の装飾を施した独特の衣装を着ることで知られています。また、宗教的にはイスラム教が多数派を占めるパキスタンの中にあって、自然崇拝や多神教的要素を含む独自の宗教を保持しており、季節ごとに行われる祭りや儀式では音楽や踊りが欠かせません。
カラーシャ族の起源については諸説ありますが、一部では古代ギリシャのアレキサンダー大王の軍勢の末裔であるとする伝承もあり、ヨーロッパ的な顔立ちを持つ人もいることから、しばしば注目を集めています。ただし、現代の遺伝学的調査ではその説を裏付ける明確な証拠はなく、むしろこの地に古くから居住してきた土着の民族が、長い時間をかけて独自の文化を発展させてきたものと考えられています。
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