カラコラム山脈は、南アジアと中央アジアの境界に位置し、中国・パキスタン・インドの三国にまたがる険しい高山地帯であり、西端はアフガニスタンのワハーン回廊に近接しており、厳密にはパミール高原やヒンドゥークシュ山脈と連なる地帯の中でカラコラムの西端がアフガニスタンと接するような地形になっています。ヒマラヤ山脈の西端とも連なる形で展開しています。この山脈は世界で2番目に高い山であるK2(標高8,611メートル)を擁し、広大な氷河地帯と岩山が連なる極めて過酷な自然環境が特徴です。気候は寒冷で乾燥しており、人間の居住には適さないものの、古来より東西交通の戦略的要衝として重要視されてきました。
特に、カラコラム山脈はシルクロードの南ルートの一部として重要な役割を果たしました。中国側の起点は新疆ウイグル自治区のカシュガルであり、ここから南下してカラコラム峠を越え、パキスタン側のフンザ地方やギルギットへと至ります。このルートは「カラコラム・ハイウェイ」として現代にも受け継がれており、険しい山岳地帯を越えて中国とパキスタンを直接結ぶ唯一の陸路交通路として知られています。交易路としての歴史的意義に加え、現在では両国間の経済協力や軍事的連携においても極めて重要な地理的役割を果たしており、地政学的観点からもその存在感は非常に大きいと言えます。
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