プトレマイオス

プトレマイオス1世はアレクサンダー大王の側近かつ将軍の一人であり、アレクサンダーの死後にその帝国が分裂すると、エジプトを支配下に置き、紀元前305年に正式にファラオ(王)として即位しました。彼によって始まった王朝が、ギリシャ系王朝であるプトレマイオス朝(プトレマイオス王朝)であり、この王朝はクレオパトラ7世の時代まで約300年間続くことになります。

 

プトレマイオス1世は、軍事的手腕だけでなく統治者としての才覚にも優れ、アレクサンドリアを首都とし、文化・学術の中心都市へと発展させました。彼の治世下ではアレクサンドリア図書館の設立が進められ、ギリシャ文化とエジプト文化の融合が進められたことで、後のヘレニズム文明の基盤が築かれました。

 

一方で、2世紀にアレクサンドリアで活動した天文学者のクラウディオス・プトレマイオスとは別人物であり、両者はしばしば混同されがちです。クラウディオス・プトレマイオスは天文学や地理学の分野で多大な功績を残した学者であり、『アルマゲスト』において天動説を体系化し、『地理学』では緯度・経度による地図の概念を示しました。