突厥

突厥(とっけつ)は、6世紀から8世紀にかけて中央ユーラシアの広大な地域に強大な勢力を築いたトルコ系遊牧民族であり、最初の「突厥可汗国」は552年に創建されました。彼らはモンゴル高原にあった柔然を打ち破って自立し、初代のブムン可汗がその建国者として知られています。この王朝は「第一突厥可汗国」と呼ばれ、以後、西は中央アジア、東は中国の北辺に至る広大な領域を支配するようになります。

 

突厥は騎馬遊牧民としての機動力と戦闘力に優れ、中国の隋や唐とも外交・軍事両面で深く関わりました。ときに唐と同盟を結び、ときに敵対するなど、その関係は複雑で変動的でした。特に煬帝の時代には突厥と隋との間に緊張が高まり、突厥は隋の衰退にも一定の影響を及ぼしました。

 

しかし内部の権力争いや、唐の巧みな分断政策によって突厥は一時的に崩壊し、630年には東突厥が唐に服属します。その後、682年にクテュルク(骨咄禄)可汗によって再興されたのが「第二突厥可汗国」です。この時期にはビルゲ可汗や重臣トニュククらの指導のもとで再び勢力を回復しましたが、最終的には8世紀半ばにウイグルの台頭によって滅ぼされます。

 

突厥の歴史は、中央ユーラシアにおける最初のトルコ系帝国として、後のセルジューク朝やオスマン帝国に至るトルコ民族の国家形成の先駆けとなる重要な役割を果たしました。また、彼らの使用した突厥文字は、現存する最古のトルコ語碑文としても知られ、遊牧国家でありながら独自の文化的痕跡を歴史に残しています。