セイスタン湿地帯は、アフガニスタンとイランの国境地帯に広がる内陸の湿地で、主にハムーン湖とその周辺を中心に形成されています。これは、ヒンドゥークシュ山脈に源を持つヘルマンド川が流れ込むことによって生まれた水系で、乾燥した気候の中では貴重な水源となっています。この湿地帯は季節によって水量が大きく変化し、雨期には湖が広がって水鳥や魚類が豊富に見られる生態系が形成される一方、乾期には水がほとんど干上がり、荒涼とした風景に変わることもあります。
歴史的には農業や漁業が営まれ、古代から人々の生活を支えてきた地域であり、同時に文明の興亡にも深く関わってきました。しかし近年では、気候変動や上流域での過剰な取水、干ばつなどの影響により湿地の縮小が進んでおり、環境保全が重要な課題となっています。
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