シルクロード

シルクロードという言葉は、19世紀にドイツの地理学者フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンによって提唱されました。彼は中国から西アジア、さらに地中海地域へと続く古代の交易路を研究する中で、この道が主に絹(シルク)の交易に用いられたことに注目し、「Seidenstraße(ザイデンストラッセ;絹の道)」という表現を用いました。これは後に英語で「Silk Road(シルクロード)」と訳され、広く知られるようになりました。

 

シルクロードという名称は、実際のところ一つの道ではなく、陸路と海路を含む複数のルートの総称です。これらの交易路は紀元前2世紀ごろの漢代に整備され、中国と西方世界との間で物資や文化、宗教、技術などが活発に行き来する舞台となりました。リヒトホーフェンがこの名称を提案した根拠は、シルクロードを通じて中国の絹が西方にもたらされ、特にローマ帝国などで非常に高価かつ人気のある商品として取引されていたという歴史的事実に基づいています。したがって、「シルクロード」という言葉は、交易品としての絹の象徴性と、それを媒介にした東西交流の歴史を象徴する用語として定着したのです。