イスラムスーフィズム(Sufism、アラビア語で「タサウウフ」)とは、イスラム教の神秘主義的な伝統であり、神(アッラー)との直接的な結びつきや、内面的・霊的な浄化を重視する思想・実践体系です。スーフィズムの核心は、イスラム教の教義に基づきながらも、形式的な儀式や法律よりも「神との一体感」や「愛」を中心に据える点にあります。
スーフィー(スーフィズムの実践者)たちは、神を深く愛し、その存在を体験的に知ることを究極の目標とします。そのために、祈り(サラート)や断食(サウム)といった通常の宗教実践に加え、瞑想や詩、音楽、踊り(たとえば旋回舞踊=セマー)など、感情や身体を通じて神に近づく独自の修行方法を行います。
また、スーフィーは「内なる浄化(タズキーヤ)」を通じて、欲望やエゴ(ナフス)を克服し、真の自己=神に近づく魂を育てようとします。彼らは預言者ムハンマドの霊的な後継者であると自認し、多くの場合、特定の導師(シャイフ)と弟子(ムリード)との関係を重んじる「教団的」な形をとっています。スーフィズムは、イスラム世界各地で詩人や哲学者を生み出しました。たとえばペルシャの詩人ルーミーや、スペインの哲学者イブン・アラビーは、神の愛と宇宙的な一体感をテーマにした思想で知られています。
まとめると、スーフィズムとは、イスラム教の内面的・霊的な側面を深く探求し、神との直接的な結びつきを愛と体験を通して求める神秘主義的な思想体系です。
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