アフガニスタンに於けるカレーズの会が描く未来活動

カレーズの会の設立経緯と概要

設立者の経歴 

灌漑システムカレーズの構造

 カレーズの会を設立し、その活動を主体的に行っているのは、アフガニスタン系日本人のレシャード・カレッド氏です。レシャード・カレッド氏は、1950年にアフガニスタンのカンダハールで生まれ、1969年に来日。千葉大学留学生部を経て、1972年に京都大学医学部に編入し、1976年に卒業しました。その後、日本各地の病院で呼吸器外科の研鑽を積み、1989年からはJICAの要請でイエメンの結核対策プロジェクトのチームリーダーとして赴任しました。帰国後は松江市民病院で呼吸器外科を立ち上げ、現在は静岡県島田市でレシャード医院の院長を務めています。

カレーズの会の設立経緯

 特定非営利活動法人カレーズの会は、2002年4月に設立され、同年6月にアフガニスタン政府からNGOとして登録を取得しました。

 

設立の背景には、2001年9月のアメリカ同時多発テロに端を発したアフガニスタン戦争があり、多くの民間人が犠牲となったことから、レシャード・カレッド氏が個人的に行っていた救援活動を組織的な復興支援に発展させるため、静岡県民の協力を得て設立されました。

 

Colegota, Turpan-karez-museo-d02, CC BY-SA 2.5 ES
トルファン(中国)のカレーズ博物館

 カレーズの会は、アフガニスタンを中心に活動する日本の支援NPOです。「カレーズ」は、中央アジア等の乾燥地帯で水を確保し、農業や生活用水として利用するための地下灌漑システムの名称です。その特徴は、地表の蒸発を防ぎながら地下水を安定供給することが可能で、オアシスや農地を潤し、作物の生産を可能にします。また、都市や村に必要な飲料水や生活用水を提供します。電力を使わずに水を供給できるため伝統的な技術を活かしたエコフレンドリーな水供給方法です。


カレーズの会の名称は、人間が健全な生活を営む上で最も重要な水資源を管理し改善することでアフガニスタンの住環境を改善する意図が窺われます。

カレーズの会の活動実績

 カレーズの会の主な活動成果は、アフガニスタン南部のカンダハール市における医療と教育の支援があげられます。2008年4月にはアイノ・メーナ地区に診療所を建設し、年間約3万人の患者の診療を行っています。

 また、2009年にはアンサリ・メーナ地区に学校を建設し、2024年3月現在、約2,427名の児童が学んでいます。

アフガニスタンにおけるカレーズの会の活動

草の根NGOとしての貢献

 カレーズの会は、アフガニスタンにおいて地元コミュニティと直接協力し、支援NPOとしての役割を果たしてきました。特に、地元の人々と協力しながら、持続可能な発展を目指す活動に注力しています。アフガニスタンの厳しい環境下で草の根レベルの活動を継続することで、地域社会の本当のニーズに耳を傾け、実際に役立つ支援を行ってきました。現地の人々との信頼関係を築くことで、彼らが自立し、長期的に持続可能な社会を構築する手助けをしています。

2002年以降の活動

 2002年以降、カレーズの会はアフガニスタンにおける様々なプロジェクトを展開してきました。この期間は特に、ペシャワール会やその他の団体との連携が進んだ時期であり、新たな支援方法の模索が行われました。地元住民参加型のプロジェクトを中心に、水資源の管理や農村開発のためのワークショップなどを実施。それに伴い、給水衛生や教育の分野でも積極的に活動を展開しました。これらのプロジェクトは、地域住民が自ら問題解決を図る意識を高めると同時に、現地の生活水準向上にも寄与しています。

持続可能な発展の課題

 アフガニスタンにおいて持続可能な発展を実現するためには、数多くの課題が存在しています。特に、現地の特性を考慮した上での経済的発展や社会的福祉の向上が求められています。その中で重要なのが自然資源の管理と適切な利用です。特に水資源管理は、地域の発展に直接的に影響するため、非常に重要なテーマとして掲げられています。

水資源管理の重要性

 アフガニスタンはその地理的特性上、限られた水資源をいかに効率的に管理し活用するかが大きな課題となっています。カレーズの会をはじめとする支援NPOやその他の団体がこの問題に取り組んでおり、持続可能な水資源管理の方法を模索しています。ペシャワール会などの協力も得て、古来からの技術「カレーズ」システムの再生に取り組むことで、農業や生活用水の供給を安定化させることが可能となります。水資源の管理が確立されれば、食料の安定供給や保健衛生の向上にもつながり、地域住民の生活の質が向上します。

住民による給水衛生委員会の設立

 アフガニスタンの持続可能な開発を支援する方法の一環として、住民自身が関与する給水衛生委員会の設立が挙げられます。これは地元住民が主体となって水供給と衛生管理を行う組織で、地域の特性や需要に応じた計画の策定や実施の役割を担います。住民自身が参加することで、自らの生活環境を改善する意識が芽生え、長期的な発展が期待できます。さらに、この取り組みは地域の協力関係を強化し、地域社会の一体感を高める効果もあります。

カレーズの会と他の団体との連携

ペシャワール会や燈台との協力

 カレーズの会は、アフガニスタンにおける持続可能な発展のために、他の支援NPOと積極的に連携しています。特にペシャワール会との協力は、相互の専門性を活かし効果的な支援方法を展開する上で欠かせないものです。ペシャワール会と提携することで、現地での施策や技術支援がよりスムーズに行えるようになっています。

 

 また、認定NPO法人燈台アフガン難民救援協力会(2020年3月末をもって国際協力活動を終了)のような団体とも関係を築き、多角的な支援を進めてきました。例えば、燈台との協力では、地域社会における教育プログラムの導入や経済的自立を促進するプロジェクトが具体化されました。こうしたパートナーシップはカレーズの会が目指す持続可能な発展のビジョンを実現するために重要な役割を果たしています。

 

 このように、他の団体との協力関係を通じて、カレーズの会はアフガニスタンの地域社会の再建を着実に進めています。各団体が持つ知識や技術を相互に活かすことにより、地域の人々の生活改善に具体的な成果をもたらしています。各団体との協力は、手続き面における効率化にも寄与し、支援活動の効果を高めています。

未来へのビジョン

持続可能な開発のための戦略

 カレーズの会は、アフガニスタンにおける持続可能な開発を実現するために具体的な戦略を策定しています。この戦略には、地域資源を最大限に活用しながら、地元の需要と持続可能性を両立させる方法が含まれます。特に、水資源管理の改善やグリーンエネルギーの導入などを通じて、環境負荷を軽減しつつ経済を活性化させることを目指しています。これにより、アフガニスタンの長期的な繁栄に貢献し、支援NPOとしての使命を果たしていきます。

地域社会とのパートナーシップの強化

 持続可能な開発を達成するためには、地域社会との強固なパートナーシップが不可欠です。カレーズの会は、ペシャワール会やその他の団体と連携し、地域住民の意見を尊重したプロジェクトを展開することを重視しています。具体的な手続きとして、住民参加型のワークショップや意見交換会を定期的に開催し、地域のニーズに即した支援方法を模索しています。こうした取り組みにより、地域社会と共に持続可能な未来を築くことを目指しています。

 

ペシャワール会への支援及び寄付についてはこちらのページで確認してください。