アフガニスタンの大型希少犬種クーチス犬

クーチス犬の概要

アフガニスタン原産の大型犬

アフガニスタンの大型希少種のクーチス犬
大型希少種のクーチス犬

 クーチス犬(Kuvasz)は、アフガニスタン原産の大型犬です。アフガニスタンでは、サゲ・クーチ(サーゲ・クーチ)等と呼ばれる他、クチ犬、クーチ犬とも呼ばれますがインド原産の小型犬のクチ犬とは犬種が異なります。別名ポウインダー・ドッグ(英:Powinder Dog)やクーチ・グレイハウンドと呼ばれることもあります。

 

 

アフガニスタンの大型犬アフガンマスティフ
大型犬アフガンマスティフ

アフガン・マスティフ(英:Afghan Mastiff)やアライアン・マスティフ、アライアン・モロサスとも呼ばれる犬種と同じと言われていますが真偽は不明です。クーチス犬は専らクーチス族(クチ族またはクーチ族とも言う)だけに飼われているため謎の多い犬種です。

 

クーチス犬はパシュトゥーン系遊牧民族であるクーチス族(ポウインダー族)に飼われている中頭種(中鼻犬)の大型犬です。和犬、特に紀州犬に似て男前で白い毛色の場合は白熊にも似て貫禄十分です。戦場カメラマンの渡辺陽一氏がテレビでアフガニスタンには2m程の犬がいると話していたと言われていますが、このクーチス犬のことを言っていると思われます。但し、2mは有りませんが、イメージ的には2mと感じるかもしれません。

 

クーチス犬は、優れた番犬として知られており、美しい外観と忠実な性格で人気を集めています。クーチス犬はクーチス族以外では飼われていないと言われており、アフガニスタンでクーチス族に会う機会はまず無いのでクーチス犬を見かけることも皆無に近いと思われますが、バンディ・アミール湖畔の駄菓子屋の近くでもクーチス犬と思われる大型犬を見かけましたので極稀に遊牧民以外でも飼われている可能性、もしくは遊牧民の季節の居住地が近くにあった可能性があります。

クーチス犬の特徴

 クーチス犬は、筋肉質で引き締まった体型を持ち、優雅な姿勢が特徴です。毛皮は長く、リュクスな髪の毛が美しく流れています。一般的に、毛色は白色が好まれますが、稀にクリーム色や灰色の個体も存在します。

 また、クーチス犬は大型犬であり、成犬の体高は60〜70センチメートル、体重は40〜60キログラム程度になります。それに伴い、運動量も多く、広い敷地で十分な運動をする必要があります。

クーチス犬の性格と対人性

 クーチス犬は頭の良い犬種であり、忠実で従順な性格を持っています。自己主張が強く、家族や領域を守るために警戒心が強いですが、基本的に友好的であり、知らない人に対して攻撃的になることはありません。

 また、子供や他のペットとも穏やかに接することができるため、家庭犬としても適しています。ただし、適切な社会化としつけを行うことが重要です。

クーチス犬の飼い方と注意点

 クーチス犬は活発でエネルギッシュな犬種ですので、日々の運動が十分に必要です。広い敷地での散歩やランニング、遊び相手となる犬友との交流を提供することが重要です。

 毛皮が長いため、ブラッシングが頻繁に必要です。週に数回、絡まりを防ぐためにブラッシングを行い、トリミングも定期的に行うことが必要です。

 さらに、クーチス犬は家族と一緒に過ごすことを好みますので、できるだけ同居する環境を整えることが望ましいです。それによって、適切な社会化やしつけを行い、愛情をたっぷり注いであげることが大切です。

クーチス犬とクーチス族の関係

 クーチス犬は、アフガニスタンのクーチス族と深い関係があります。クーチス族は遊牧民であり、彼らはクーチス犬を使って彼らの羊やヤギを守るために育てています。なお、クーチス族はポウインダー族と同一視される他、ポウインダー族の一部と見なされる場合があります。

番犬としての役割

 クーチス犬は、クーチス族の貴重な財産である家畜を守るために非常に重要な役割を果たしています。クーチス犬は非常に勇敢で頼もしく、家畜を狼や野犬その他の捕食者から守るために鋭い警戒能力を持っています。また、クーチス犬は、家族や部族民を泥棒やその他の侵入者等の敵から守る役割を担っています。

 クーチス犬は、その大きな体と鮮やかな外見からもわかるように、外敵に対して脅威を与える存在です。彼らは見知らぬ人や他の動物から家畜を守るために自身を積極的に差し出し、クーチス族の財産を守るために命を捧げることもあるでしょう。

狼と戦うために脱耳

 クーチス犬は、長い歴史の中で狼との戦いにおいて非常に優れた能力を持つことが求められました。そのため、クーチス犬は狼に対抗するために両方の耳を脱耳されている他半分程度脱尾されています。

 脱耳は、クーチス犬にとって重要な身体的特徴であり、彼らの勇気と戦闘能力を象徴しています。また、脱耳はクーチス族の文化との深い結びつきも持っており、クーチス犬の存在がクーチス族のアイデンティティと結びついていることを示しています。

 以上が、クーチス犬とクーチス族の関係についての概要です。クーチス犬は、彼らの勇気と忠誠心によってクーチス族の財産を守り続けています。