8月31日深夜(現地時間23時47分)、アフガニスタン東部でマグニチュード6.0の地震が発生しました。震源はナンガルハール州ジャララバードの北東25kmのクナール州境の近くで震源は浅く約8〜10kmで、パキスタン国境沿いの山地を中心に強い揺れが広範囲に及びました。米USGSは震央をバサウル北方とし、M6.0・深さ10kmと速報しています。
被害はクナール州ヌルガル地区などで甚大となり、タリバン当局の集計で死者800人超、負傷者2,500人規模との報道が相次ぎました。土砂崩れや家屋倒壊で複数の村落が壊滅し、夜間の救助や通信遮断、道路寸断が対応を難しくしています。隣国パキスタンでも揺れが観測され、国連・赤新月社が支援に動く一方、政治的孤立と資金不足が救援のボトルネックとなっています。
震源域はクナール川(アフガニスタン側の呼称。パキスタンではチトラル川)流域に近接し、同河川はジャララバード東方でカーブル川に合流します。川沿いの急峻な地形と脆弱な住居(れんが・日干し土など)が被害を拡大させたとみられます。
この一帯は、日本人医師の故・中村哲氏(ペシャワール会)が長年にわたり灌漑事業と医療活動を続けた地域でもあります。拠点はジャララバード近郊に置かれ、クナール川からの導水路整備や用水路・堰の建設でガンベリ砂漠を緑地化し、数十万人の生計を支えました。今回の地震は、まさに中村氏の活動現場に隣接する流域社会を直撃した形です。
アフガニスタンはインド・ユーラシア両プレート境界に位置し地震多発国です。2023年の西部地震に続く大規模災害で、被災地では余震と洪水リスクも指摘されています。国際社会の継続的な人道支援と、地場建材に配慮した耐震・土砂災害対策の両輪が、復旧・復興の鍵となります。