アフガニスタン東部で8月31日深夜に発生したマグニチュード6.0の地震は、クナール州を中心に甚大な被害をもたらしています。報道によれば死者は2,200人を超え、住居や社会基盤への打撃が深刻化しています。
現地で長年活動を続けるペシャワール会の現地事業体PMS(ピースジャパンメディカルサービス)は、ペシャワール会公式サイトを通じて、PMSの被害状況と被災地支援に向けた対応を発表しました。地震発生直後からジャララバードの拠点にいた日本人スタッフ3名を含む全員の無事が確認され、現地職員についても安否は確認済みだという。また、PMSが手がけるマルワリード用水路や堰といったインフラ施設には、現時点で大きな被害は認められていません。
ダラエヌール診療所では、周辺の住宅倒壊で多数の負傷者が運び込まれ、職員が夜を徹して治療にあたりました。副院長のジア医師は「できる限りの支援を行う」と職員一同の決意を表明し、本部もこれを全面的に支持しました。ペシャワール会とPMSは連携し、被災地への医療支援、物資供給、そして重機を用いた道路復旧などの活動を進める方針を示しています。とりわけ交通網が遮断されたヌールガル郡などでは、人命救助を最優先課題として対応を急いでいます。
具体的な被災地域の状況として、PMS藤田支援室長の9月1日19時時点の報告では、クナール州のヌールガル郡マザールダラ村とソウケイ郡ディワガル村では家屋がほぼ倒壊し、882人の死亡と2,900人の負傷が確認されており、マザールダラ村は交通路が完全に遮断されてヘリによる救助のみ可能とされています。ディワガル村へは4輪駆動車でのアクセスしか見込めず、いずれも近隣州(ナンガラハル州など)へ負傷者が搬送されています。また、ナンガラハル州のダラエヌール郡スータン村とワイガル地域でも類似の被害があり、12人の死亡と250人の負傷が報告されました。加えて、ラクマン州では15人の死亡と150人の負傷、ヌーリスタン州では負傷者15名が確認されています。
PMSはこれらの状況を踏まえ、被災地への支援活動を3チーム体制で計画しており、支援可能な内容として① 重機(バックホー、ブルドーザー、大型トラック)の優秀なオペレーターを擁しており、必要に応じて交通路の整備に即座に協力できる準備、② 被災者への治療支援、医薬品や医療物資の供給、③ 生存者が避難所で必要とする物資(食料、衣料、生活用品等)の提供、以上の支援を行える旨を明記しています。こうした支援方針の背景には「日本から遠いアフガニスタンではあるが、人命に手を差し伸べる務めに励みたい」という強い祈りと覚悟が込められています。
最新の情報によれば被害状況は深刻さを増しています。インド紙『The Hindu』は、クナル州を中心に死者数が2,200人を超えたと伝えました。アフガニスタンの通信社 Pajhwok は、9月5日にナンガルハル州やラグマン州を余震が襲い、少なくとも13人が負傷したと報じています。
国際社会からの支援も広がっています。NHKによれば、日本政府は緊急支援としてテントや毛布などの物資を供与する方針を決定し、国際協力機構(JICA)を通じて被災地への支援を開始します。国連や赤十字も現地入りしており、人道支援の枠組みが整いつつありますが、山岳地帯の道路寸断が救援活動の大きな妨げとなっています。
ペシャワール会は「人命救助を最優先に、現地の人々と共にある」という姿勢を貫き、支援体制を強化しています。厳しい環境の中、同会の活動は現地住民にとって大きな支えとなっています。